大学を卒業して、初めて就職した会社で10年働いて独立した。
僕の社会人生活の10年間は結果だけ見ればそれなりに順風満帆だった。
１～３年目までは仕事はそこそこにして週3で合コン。
金曜から月曜の朝まで遊びの時間で忙しかった。
夏はBBQ、海、ジェットスキー。
冬はあんまり覚えていないけど大抵飲み会かクラブ。
いつも同期の石川君と遊びほうけていた。
この時に、変な自信がついた。
「俺はイケる」
完全に勘違いだったけど、いい方向に働いた。
3年目以降は営業成績がぐんぐん伸びていった。
4年目くらいからは全社でずっと2位か3位の営業成績。
順風満帆だったけど4年目～7年目までずっと全社1位にはなれなかった。
ずっと僕の上にいたのは同期の石川君だった。
しかし彼は、僕の尊敬する上司の独立とともに退社した。
これからはずっとこの会社のTOPセールスマンは俺だ！と
胸を踊らせていた。
しかし、それも1年か2年なったような気がするくらいであまり覚えていない。もう、どうでもよかったのかもしれない。尊敬する人も目指すべきライバルも会社にはいなくなった。
蓋を開けてみれば、自分の売上なんて石川君の前にずっとトップセールスだった独立した上司が開拓したモンスター級の売上のお客様2社で50％を超えていた。
そしてその上司と独立した石川君の引継ぎで貰ったお客様で30％位。すなわち、人からのおこぼれだけでとんでもない金額の売上を持ってしまった。
だれがどう見ても、張りぼてのTOPセールスだった。
周りからは多少チヤホヤされ、調子にも乗った。
でも、張りぼてなのはバレバレだから今思えば、
ぴよぴよあたまのぱっぱらぱーイキりドヤりダサい奴
に他の人には見えていたと思う。
会社の役職を上げようと管理職的なものも勝手にやった。
しかし、すぐ先輩や後輩と揉めた。
後輩にも尊敬されていなかった。
今思えば、顔から火が出るを通り越して、火炎放射が出るほど恥ずかしい。
そして会社とも色々と揉めた。
そして、なんやかんやあって「会社辞めます」といった。
あまり、引き止められなかった。
そして10年間働いた会社を辞めて独立した。
空虚。
それなりのお給料を貰っていたので、周りの人には独立を止められた。
だから「なんで独立するの？」とよく聞かれた。
理由は沢山ある。
・地元が僕も妻も鹿児島で会社のある関東にいる必要性がない
・会社で浮いていた
・福岡という商圏に興味があった
・環境も身の回りの人も仕事の仕方も全て0にしてみたかった
・会社や世の中の仕組みを知りたかった
・同世代の社長が世の中に増えてきていた
・様々な人に出会った
特に最後の「様々な人に出会った」が一番大きい。
そこそこの売上があったので業界で成功している社長や取引先の社長と会う機会が増えた。その中でその人たちと食事に行く機会や遊ぶ機会も増えた。
（この時は、意識だけ高い系でそれ風なこと言っているだけな奴）
その中で尊敬できる人や憧れるような人達に多く出会った。
だから、機会があれば夜中でも会いに行った。
だって、その人たちがカッコよく見えたしそうなりたいと思ったから仕方ない。
そこから、お金も大して持っていないのに歌舞伎町とか六本木でよく遊び始めた。まぁ、ほとんどご馳走してもらっていたけどね。
社内で刺激的なことを見つけられなかったから外の世界を色々見てみた。
多少、新卒からの3年間で遊び呆けていた経験がプラスに作用した。
そこでいろんな話を聞いているうちに、自分でやってみたいという気持ちが強くなった。
そういった期間が2年位あって、独立を決意した。
結果から言うと独立をしてよかった。
あのまま、前の会社にいたら僕はどうなっていたのだろうと思うくらい
ダメな状態だった。その当時は気づいていなかった。
会社がいいとか悪いとかではなく、僕自身がズルズルと悪い方向に入ってっていたと思う。
離れてみないと分からないことは多い。良かったところも悪かったところもよく分かる。
いつも前の会社の部長に「源は失敗しないところが強みだよ」と言われたことをよく思い出す。
「部長！！独立してから失敗ばかりなんです！30歳超えてこんなに失敗するとは思ってませんでした！だから当時の僕は失敗しないのではなくて、チャレンジをしてなかっただけでした！」
と花束にメッセージカードを添えて送りたい。
自分の楽しい事、興味がある事の流れに身を任せてきた。
独立したらそれが手に入ると思っていた。
今も同じ考えだけど、嫌なこと、やりたくない事が増えた。
福岡に住んだことも無かったから1人しか友達もいない。
大好きだったキャンプも2年行けていない。
クラブなんて行こうとすら思わない。
家族だけで外食すらしたことない。
休みだと思った日なんて一日もない。
毎月、売上や経費の精算していると頭を抱える。
お客さんには一人の会社で舐められる。
全部自分で決断するから失敗したときに凹む。
今、独立して1年半が経った。まだ思ったような成果には程遠い。
たまに、あのまま仕事辞めなかった方がよかったのかなぁと思う時もある。
でも、2秒後には「いや、あのままの方がヤバかった」と考え直す。
独立する前の僕がこの文章を読んだら、独立を考え直したかもしれない。
だけど、今の僕は独立してよかったと心から思っている。
なぜなら、結局は今の方が楽しい。
だから、これからも自分で決断しながら
流れに身を任せていきたい。